部屋の模様替えで変わる私

なんだか疲れる部屋の原因は？空間心理でわかる手軽な改善アイデア【夫婦二人暮らし】

ご自宅で過ごす時間は、心身を休める大切なひとときですね。お子様が独立され、ご夫婦二人の暮らしになられた今、家での過ごし方や部屋の使い方も少しずつ変わってきているかもしれません。

そんな中、もしも「家にいるとなんとなく落ち着かない」「リラックスできるはずなのに疲れてしまうことがある」と感じることがありましたら、それはもしかすると、お部屋の空間が心に影響を与えているサインかもしれません。

大掛かりなリフォームや模様替えは大変、と感じる方もいらっしゃるでしょう。ですが、空間心理の考え方を少し取り入れるだけで、家具の配置や色の使い方といった、手軽な工夫でも部屋の印象は大きく変わります。そして、空間が変わると、不思議と心も穏やかになっていくものです。

この記事では、空間心理の観点から、部屋にいると疲れてしまう可能性のある原因を探り、手軽にできる改善アイデアをいくつかご紹介します。

空間心理とは？なぜ部屋が心に影響を与えるのでしょうか

空間心理とは、人がどのような空間にいるかで、心や感情がどう変化するかを探る分野です。私たちは、自分で意識していなくても、部屋の広さ、物の配置、色、明るさなどから様々な情報を無意識に受け取っています。

例えば、物がごちゃごちゃと置かれて整理されていない場所では、なんだか心がざわざわしたり、落ち着かなかったりします。逆に、すっきりと整頓され、お気に入りの色や物が配置された空間では、安心したり、リラックスできたりするのを感じるのではないでしょうか。

このように、私たちの心は、部屋の空間と深くつながっています。そして、「なんとなく疲れる」と感じる空間には、無意識のうちに心に負担をかけている要因が隠れていることがあるのです。

手軽にできる！「疲れる部屋」を心地よく変える配置の工夫

「疲れる」と感じる原因の一つに、部屋の「配置」があります。視線の通り道が妨げられたり、体の動きがスムーズでなかったりすると、知らず知らずのうちにストレスを感じてしまうことがあります。

ここでは、大掛かりな模様替えなしに、手軽にできる配置の工夫をご紹介します。

• 視線の抜けを作る 部屋に入ったときに、壁や大きな家具にぶつかって視線が止まってしまう配置は、圧迫感を与えやすいと言われます。ソファや椅子などの家具の向きを少し変えて、窓の外や部屋の奥まで視線が通るようにしてみましょう。視界が広がることで、空間が広く感じられ、心にもゆとりが生まれることがあります。壁際に寄せすぎず、少し隙間を空けるのも効果的です。

• 「通り道」を確保する リビングや廊下など、人がよく行き来する場所の通り道が狭くなっていたり、物が置かれていたりしませんか。スムーズに移動できないと、それだけで小さなストレスが積み重なります。家具の位置を数センチずらすだけでも、通り道が確保され、毎日の体の動きが楽になります。この「スムーズに動ける」感覚は、心の余裕にもつながります。

• 心地よい「よりどころ」を作る 部屋の中に、自然と視線が集まる場所、「フォーカルポイント」を作ることも、空間を落ち着かせる手助けになります。例えば、壁に飾ったお気に入りの絵画、きれいに整理された棚の一角、素敵なランプを置いたサイドテーブルなどです。こうした心地よい「よりどころ」があると、部屋の中で心が落ち着く場所ができ、視線が定まることで安心感を得やすくなります。

心地よさをプラス！「疲れる部屋」を癒やしの空間に変える色の工夫

視覚から入る「色」の情報も、私たちの心に大きな影響を与えます。刺激が強すぎる色や、まとまりのない色の組み合わせは、無意識のうちに心を疲れさせてしまう可能性があります。

手軽にできる色の工夫で、お部屋をもっと心地よい癒やしの空間に変えてみましょう。

• 落ち着く色をアクセントに 部屋全体の色を変えるのは大変ですが、クッションカバー、ブランケット、小さなラグ、花瓶、フォトフレームなどの小物で色を足すのは手軽です。心を落ち着かせる効果のあるベージュ、ブラウン、グリーン、ブルーなどの色をいくつか取り入れてみましょう。これらの色は自然の色に近く、安心感を与えてくれます。

• 色の数を絞る 部屋の中に様々な色がたくさんあると、視覚的な情報量が多くなり、目が疲れたり、心が落ち着きにくくなったりすることがあります。まずは、今ある色を把握してみましょう。そして、部屋全体で使う色の種類を3～4色程度に絞ることを意識してみてください。特に面積の広いカーテンやソファの色、壁の色（見える部分）を意識すると、部屋全体に統一感が生まれ、心が安らぎやすくなります。

• 照明の色で温かみをプラス 天井の照明だけでなく、テーブルランプやフロアランプなどの間接照明を取り入れてみませんか。暖色系の優しい光は、リラックス効果を高め、部屋に温かい雰囲気をもたらしてくれます。特に夕食後や寝る前の時間帯に、暖色系の照明だけで過ごすと、心身ともにリラックスできるのを感じるでしょう。

ご夫婦二人の暮らし、孫の来訪...状況別 手軽な工夫

ご家庭の状況に合わせて、これらのアイデアを少し応用してみましょう。

• ご夫婦二人の心地よい空間 お互いが心地よく過ごせる「定位置」を大切にしましょう。それぞれの場所から見える景色や、近くに置く小物の色を、より心が安らぐものに変えてみるのはいかがでしょうか。例えば、いつも座る椅子の近くに、お気に入りのグリーンを置いたり、心が落ち着く色のクッションを置いたりするだけで、その場所が特別な安らぎスペースになります。また、会話をする場所（リビングのソファやダイニングテーブル）に、心が穏やかになるような色（例えば淡いブルーやグリーン）の小物を置くと、自然と会話が弾みやすくなるかもしれません。

• 孫が来る日のための工夫 お孫さんが安全に、楽しく遊べるスペースを作ることは大切ですね。その際には、一時的に家具を少し寄せて広い場所を作るなどの配置の工夫が役立ちます。また、子供向けのおもちゃはカラフルなものが多いですが、普段は目に触れないように、色のついた収納ボックスにまとめたり、特定のコーナーだけに置くようにしたりすると、普段の部屋の落ち着いた雰囲気を保ちやすくなります。

まとめ

「なんとなく疲れる」と感じるお部屋も、実は空間心理の観点から見ると、手軽な工夫で改善できることがたくさんあります。

大きな模様替えをしなくても、家具の配置を少し変えたり、クッションや小物、照明の色を変えたりするだけでも、お部屋の雰囲気はぐっと心地よくなります。そして、心地よい空間は、私たちの心に安心感と安らぎをもたらし、毎日の疲れを癒やしてくれます。

ご紹介したアイデアの中から、一つでも気になったものがあれば、ぜひご自宅で試してみてください。ほんの小さな変化でも、きっとお部屋にいる時間が、以前よりずっと好きになるのを感じていただけるはずです。