疲れて帰ってきた日も心地よく。空間心理で叶える手軽な癒やし空間の作り方
一日の終わりに家に帰って「ホッとしたい」「疲れを癒やしたい」と感じることは、どなたにもあるのではないでしょうか。特に50代後半になると、若い頃よりも疲れを感じやすくなった、と感じることもあるかもしれません。
お部屋は、単に暮らす場所だけでなく、私たちの心に大きな影響を与える存在です。空間心理では、部屋の色や配置といった物理的な要素が、安心感やリラックス感、気分転換といった心の状態につながると考えます。
この記事では、疲れて帰ってきた日に、お部屋で心地よく過ごすための、空間心理を活用した手軽な工夫をご紹介します。大掛かりな模様替えは大変、と感じている方も、小さな一歩から始めて、心満たされる癒やし空間を手に入れてみませんか。
空間心理が教えてくれる、部屋と心の関係
空間心理とは、私たちがどのような空間で過ごすかによって、気持ちや行動がどのように変化するかを探求する学問です。例えば、明るく広々とした場所では気分が明るくなりやすく、落ち着いた色の場所ではリラックスしやすい、といった経験は、多くの方がお持ちのことと思います。
これは、私たちが無意識のうちに空間からの影響を受けているからです。特に、毎日過ごす自宅は、心にとって最も大切な場所。お部屋の環境を少し整えるだけで、毎日の心の状態をより良い方向へ導くことができるのです。
疲れた日も「ホッ」とする。空間心理を取り入れた手軽な工夫
では、疲れて帰ってきた日に心地よく過ごすために、具体的にどのような工夫ができるのでしょうか。大規模なリフォームや模様替えではなく、今すぐにでも試せる手軽なアイデアをご紹介します。
1. 玄関:家に入った瞬間の「ホッ」を演出する
玄関は、外と家をつなぐ場所。ここに心地よさをプラスするだけで、家に入った瞬間の気持ちが大きく変わります。
- 色と素材の工夫: 玄関マットを、足触りの良い、落ち着いた色合い(ベージュ、ブラウン、グレーなど)のものに変えてみましょう。視覚的にも触覚的にも安心感を与えてくれます。小さな観葉植物や季節の草花を飾るのも良いでしょう。緑色は心を落ち着かせる効果が期待できます。
- 配置の工夫: 玄関に立つと、正面に壁がある場合は、そこに心地よい絵や写真を飾るのも効果的です。視線が集中する場所に好ましいものがあると、自然と心が和らぎます。
2. リビング:体に優しい「癒やしの定位置」を作る
リビングは家族が集まる場所ですが、疲れた日は「自分だけが心底くつろげる場所」があると嬉しいものです。
- 配置の工夫: ソファの一角や、お気に入りの一人掛けソファを、窓の外が見える位置や、壁にもたれかかれるような安心感のある位置に置いてみましょう。壁にもたれる配置は、背後からの視線を遮り、リラックス感を高める効果があると言われています。
- 色と素材の工夫: その「癒やしの定位置」に、肌触りの良いブランケットやクッションを置いてみましょう。色は、心を落ち着かせる青や緑、安心感を与えるベージュやブラウンなどがおすすめです。クッションの色を変えるだけでも、手軽に雰囲気を変えられます。
3. 照明:穏やかな光で心身を休める
疲れているときは、明るすぎる光は刺激になりがちです。穏やかな光を取り入れて、心身を休ませましょう。
- 手軽な工夫: 直接的な強い光だけでなく、間接照明やフロアランプ、テーブルランプなどを活用してみましょう。暖色系の光は、心に安らぎを与えてくれます。ダウンライトやシーリングライトの一部だけをつけたり、調光機能があれば光を落としたりするのも効果的です。小さなライトを置くだけでも、温かい空間を演出できます。
4. 目に入る景色を心地よく
部屋全体を大きく変えなくても、視線がよく行く場所を整えるだけで心は安らぎます。
- 色と配置の工夫: テレビの周り、飾り棚の一角、テーブルの上など、普段よく目にする場所に、心を落ち着かせる色の小物(花瓶、小さな置物、写真立てなど)を置いてみましょう。ごちゃごちゃしていると感じる場所を少し片付けるだけでも、視覚的なノイズが減り、心が穏やかになります。
- 窓辺の活用: 窓の外の景色に癒やされるという方もいらっしゃるでしょう。窓辺に小さな植物を置いたり、風に揺れる優しい色合いのカーテンを取り付けたりするのも、心地よい視覚刺激になります。
小さな変化が大きな癒やしに
ご紹介したアイデアは、どれもすぐに試せる手軽なものばかりです。大掛かりな模様替えに抵抗がある方も、クッションカバーの色を変えてみる、小さなライトを一つ置いてみる、玄関にマットを敷いてみる、といったことから始めてみましょう。
これらの小さな変化が、帰宅したときの「ホッ」とした感覚や、部屋で過ごす時間のリラックス感につながります。心地よい空間は、疲れた心を癒やし、明日への活力を養う助けとなってくれるはずです。
ご自身の「心地よい」と感じる感覚を大切にしながら、無理なくお部屋を整えてみてください。きっと、毎日が少しずつ、心満たされる時間へと変わっていくことでしょう。