部屋の模様替えで変わる私

空間心理で廊下や通路をもっと心地よく。気分が明るくなる手軽な色と配置の工夫

Tags: 空間心理, 部屋づくり, 心地よい暮らし, インテリア, 模様替え

毎日通る廊下や通路が、あなたの心を整える場所に

お子様が独立され、ご夫婦お二人での暮らしが中心になった方もいらっしゃるかもしれません。これまでとは家の使い方が少しずつ変わってきたと感じることもあるのではないでしょうか。リビングや寝室など、長く過ごす場所を心地よくしたいと考えるのは自然なことですが、実は家の中には、毎日必ず通るのに、つい見過ごしてしまいがちな空間があります。それは、廊下や通路です。

「たかが通り道」と思われるかもしれません。ですが、廊下や通路は、部屋から部屋へ移動する際に必ず目にする場所です。ここがどのような空間であるかが、無意識のうちに私たちの心に影響を与えていると空間心理では考えられています。

例えば、狭くて暗い廊下を通るたびに、少し圧迫感を感じたり、気持ちが沈んだりすることはないでしょうか。逆に、明るくすっきりとした通路を通ると、自然と気分が軽くなるように感じることもあります。

この記事では、空間心理の視点から、廊下や通路が心に与える影響についてお話し、大規模な模様替えではなく、手軽にできる色や配置の工夫で、この見過ごされがちな空間を心地よく変えるアイデアをご紹介します。家全体が、そしてあなたの心が、より穏やかで明るくなるヒントを見つけていただけたら嬉しいです。

空間心理から見る、廊下・通路と心の関係

空間心理では、私たちが五感で感じ取る空間の情報が、知らず知らずのうちに心の状態に影響を与えていると考えます。特に、家の中の「通り道」である廊下や通路は、短い時間しか滞在しない場所ですが、ここでの印象が次に移動する部屋での気分に影響を与えることもあります。

つまり、廊下や通路を心地よい空間に整えることは、家の中を移動するたびに、気分を切り替え、心を整える小さな習慣につながる可能性があるのです。

手軽に試せる!廊下・通路の「配置」の工夫

大規模なリフォームや家具の買い替えは必要ありません。今ある物を少し動かしたり、ほんの小さなアイテムを加えたりするだけで、廊下や通路の印象は大きく変わります。

  1. 「圧迫感を減らす」配置
    • 廊下や通路に、高さのある大きな家具や物を置くのは避けましょう。特に、幅が狭い場所では、置かれた物が視覚的な圧迫感を与えてしまいます。
    • 壁に沿って物を置く場合も、通路の真ん中を塞がないように気をつけます。つまずきやすい物や、お子様(お孫様)が走ったときにぶつかりやすい物は置かないようにしましょう。
  2. 「視線の抜けを作る」配置
    • 廊下や通路の突き当りに、視線が集まるようなアイテムを置いてみましょう。例えば、好きな風景画や、旅先で撮った写真、小さな観葉植物などを飾ると、奥行きが感じられ、空間が広く見えます。
    • 鏡を配置するのも効果的です。空間を広く見せるだけでなく、出かける前の身だしなみチェックにも役立ちます。ただし、人が通る際に反射して驚かないような位置を選び、安全に固定することが大切です。
  3. 「安全でスムーズな動線」を確保する
    • これが最も重要です。特に、年齢を重ねると、ちょっとした段差や物に足を取られやすくなります。通路には何も置かないのが理想ですが、置く場合は壁にぴったりと沿わせるなど、邪魔にならないように配慮します。
    • 照明が暗い場所には、小さなセンサーライトなどを設置すると、夜間の移動も安心です。

手軽に試せる!廊下・通路の「色」の工夫

色もまた、空間の雰囲気を大きく左右し、私たちの心に直接働きかけます。廊下や通路全体の色を変えるのは大変ですが、小さな面積に色を取り入れるだけでも効果があります。

  1. 「明るさ」を演出する色
    • 壁の色を変えられない場合は、壁に飾る絵やタペストリーに明るい色を選んでみましょう。クリーム色や淡いイエローなどは、空間全体を明るく暖かく見せてくれます。
    • 照明の色も重要です。蛍光灯の青白い光よりも、電球色の暖かみのある光の方が、安心感やリラックス効果をもたらしやすいと言われています。暖色系のLED電球に交換するのも手軽な方法です。
  2. 「アクセントカラー」で気分転換
    • 単調になりがちな廊下に、お気に入りの色を少し加えてみましょう。例えば、壁に飾る小さな絵の額縁の色、置物の色、スリッパの色、小さなマットの色などです。
    • 青系なら落ち着き、緑系なら癒やし、オレンジや黄色系なら明るく活発な気分など、色が持つ心理効果を意識して選ぶのも良いでしょう。季節に合わせて色を変えるのも楽しいかもしれません。
  3. 「統一感」と「安心感」のある色使い
    • 廊下や通路だけが周りの部屋と全く違う雰囲気だと、落ち着かない感じがすることもあります。リビングや玄関など、隣接する部屋のインテリアと調和するような色を取り入れると、家全体の統一感が生まれ、安心感が増します。
    • 例えば、リビングのクッションに使われている色を、廊下の飾りにも少し取り入れてみる、といった小さな工夫でも効果があります。

小さな工夫で、心も体も軽やかに

廊下や通路の心地よさは、毎日を過ごす家全体の快適さにつながります。ご紹介した配置や色の工夫は、どれもすぐに試せる手軽なものばかりです。

このような小さな変化でも、毎日そこを通るたびに目にする景色が変わり、気分が明るくなったり、ほっとしたりする瞬間が増えるかもしれません。

家の中のどんな場所も、私たちの心に影響を与えています。見過ごされがちな廊下や通路から、まずは手軽に心地よい空間づくりを始めてみませんか。毎日の何気ない通り道が、あなたの心を整え、気分を上げてくれる場所になることを願っています。