空間心理で心地よい飾り方に。写真や小物の配置・色で心の変化を手軽に
空間心理で心地よい飾り方に。写真や小物の配置・色で心の変化を手軽に
ご主人の退職やお子さんの独立などで、ご夫婦二人の生活が中心になったという方もいらっしゃるのではないでしょうか。家の中を見回すと、これまで飾っていた写真や、思い出の品である小物が、改めて目に留まることもあるかもしれません。
部屋にある写真や小物といった飾り物は、単なるインテリアの一部としてだけでなく、実は私たちの心に穏やかに語りかけ、影響を与えていると言われています。空間心理の観点から見ると、目にするものの「配置」や「色」は、知らず知らずのうちに私たちの気分や感情に作用しているのです。
この記事では、大がかりな模様替えは難しくても、写真や小物の飾り方を少し工夫するだけで、空間が心地よく変化し、それに伴って心も前向きになる手軽な方法をご紹介します。空間心理の考え方を活用して、日々の暮らしがもっと豊かになるヒントを見つけていただけたら嬉しいです。
空間にある「もの」が心に与える影響とは?
私たちは普段、無意識のうちに身の回りの空間から様々な情報を受け取っています。家具の配置、壁の色、窓から見える景色、そして、そこに飾られている一つ一つのものたちも例外ではありません。
空間心理では、目に見える環境が人の心理状態や行動に影響を与えるとされています。例えば、整理整頓された空間では心が落ち着きやすく、逆に散らかっていると落ち着かなくなることがあります。
同じように、部屋に飾る写真や小物の「何を見るか」「どこに置くか」「どんな色か」といった要素も、私たちの潜在意識に働きかけ、気分や感じ方を変える可能性があるのです。心地よいと感じるものを心地よいと感じるように飾ることで、私たちの心も心地よさに向かうと考えられます。
手軽に試せる!写真や小物の飾り方アイデアと心の変化
では、具体的にどのような工夫ができるのでしょうか。大がかりなリフォームや模様替えではなく、今お持ちのものや、少し買い足すだけで手軽に始められるアイデアを中心にご紹介します。
アイデア1:思い出の写真を飾る場所を変えてみる
- 工夫: リビングの目立つ場所に飾っていた家族写真を、落ち着きたい寝室に移してみる。あるいは、いつも目にする壁ではなく、ふと視線が止まるような棚の上やニッチに小さな写真立てを置いてみる。孫の写真を玄関やリビングの目に留まりやすい場所に飾る。
- 心理的効果:
- 寝室: 就寝前に心安らぐ家族の思い出を眺めることで、安心感やリラックス効果が高まり、穏やかな気持ちで眠りにつきやすくなるかもしれません。
- 玄関やリビング(孫の写真など): 帰宅時やリビングで過ごす際に、明るく楽しい思い出が目に入ると、自然と心が和み、幸福感を感じやすくなります。孫の成長を感じることで、元気をもらえる効果も期待できます。
- 夫婦二人の写真: 二人きりの空間に二人の歴史を感じる写真を飾ることで、お互いの存在を再認識し、関係性を温かく感じられるかもしれません。
- 手軽なポイント: 写真立ての場所を動かすだけなので、特別な準備は不要です。気分に合わせて飾る写真を変えるのも良い方法です。
アイデア2:飾るものの「色」に注目してみる
- 工夫: 写真立ての色を、部屋の雰囲気に合わせて落ち着いた色に変えてみる(例:木目調、生成り色)。季節に合わせて、クッションカバーの色とコーディネートした小物(花瓶、小さな置物など)を飾ってみる。絵画やポスターを選ぶ際に、見ているとホッとするようなグリーン系やブルー系の色を選ぶ。
- 心理的効果:
- 落ち着いた色(ブラウン、ベージュ、グレーなど): 空間に馴染みやすく、安心感や安定感をもたらすと言われています。心が落ち着き、ゆったりとした気分になりやすいでしょう。
- リラックスできる色(グリーン、ブルーなど): 自然の色であるグリーンや、空や海を連想させるブルーは、心身をリラックスさせる効果が期待できます。疲れを感じたとき、これらの色を目にすることで癒やされるかもしれません。
- アクセントカラー(黄色、オレンジなど): 空間に明るさや活気を与え、気分を前向きにする効果があります。小さくても効果があるので、クッションや小物で取り入れるのが手軽です。
- 手軽なポイント: 写真立てや小さな小物は比較的手ごろな価格で見つけやすいアイテムです。季節ごとの飾りも、数点入れ替えるだけなら負担になりません。
アイデア3:小物をグループで飾る、余白を楽しむ配置
- 工夫: 好きな小物を棚の上やテーブルの一角に、いくつかのグループにまとめて飾ってみる(「ディスプレイコーナー」を作るイメージ)。または、何も飾らない「余白」の部分をあえて作る。孫が遊びに来るスペースには、触っても安全な素材の、カラフルで少し大きめの小物を少しだけ飾る。
- 心理的効果:
- グルーピング: 好きなものやテーマ性のあるものをまとめて飾ることで、そこに視線が集まり、愛着や満足感を得やすくなります。自分だけの心地よい眺めが生まれます。
- 余白: 何も置かない空間は、視覚的な休息となり、心にゆとりをもたらします。空間が広く感じられ、呼吸がしやすくなるような感覚を得られるかもしれません。
- 孫が来るスペース: 明るい色合いは子供の好奇心を刺激し、安全な素材であることは大人の安心感につながります。数を絞ることで、遊びやすく片付けやすい空間になります。
- 手軽なポイント: 今ある小物の配置を変えるだけなら、費用はかかりません。棚の一段だけ、テーブルの隅だけ、といった小さな範囲から試してみるのがおすすめです。
大切なのは「心地よい」と感じるかどうか
空間心理に基づいたアイデアをご紹介しましたが、最も大切なのは、あなたが「心地よいな」「これを見るとホッとするな」と感じるかどうかです。
専門的な知識がなくても大丈夫です。ご自身の直感を信じて、好きな写真や小物を、見ていて一番心が安らぐ、あるいは元気が出るような場所に置いてみてください。色についても、「きれいだな」「落ち着くな」と感じる色を、小さなアイテムから取り入れてみてください。
飾り方は一つではありません。季節やその時の気分に合わせて、気軽に変えてみるのも楽しいでしょう。
小さな一歩が、心地よい空間と心につながる
家の中にある写真や小物といった飾り物は、大きな家具のように場所を取るものではありませんが、私たちの目や心に与える影響は意外と大きいものです。
空間心理の考え方を参考に、配置や色を少し工夫することで、殺風景だった壁に温かみが生まれたり、見慣れた空間が新鮮に感じられたりします。そして、その心地よい変化は、きっとあなたの心にも穏やかさや前向きな気持ちをもたらしてくれるはずです。
大がかりな準備は必要ありません。まずは、お気に入りの写真立ての場所を変えてみる、小さな花を飾ってみる、といった手軽な一歩から始めてみてはいかがでしょうか。あなたの心が心地よさを感じる方向へ、ぜひ空間を整えてみてください。