空間心理で心地よい家時間。夫婦二人の心地よさを叶える手軽な「空間の区切り方」アイデア
家族構成の変化で「家時間」が変わる。空間にメリハリをつけて心も心地よく
お子様が独立されて、ご夫婦お二人での暮らしが中心になったという方もいらっしゃるのではないでしょうか。あるいは、お孫さんが遊びに来る機会が増えた、という方もいらっしゃるかもしれません。
生活のスタイルや家族構成が変わると、家の中での過ごし方も自然と変化しますよね。今まで当たり前だった部屋の使い方が、少ししっくりこなくなったと感じることもあるかもしれません。
このような変化の時期に、家の中の空間に少し工夫を凝らすだけで、ご夫婦二人の時間がもっと心地よく、そして、ふと訪れるお孫さんとの時間も穏やかなものに変えることができます。
今回は、空間心理の考え方を取り入れながら、大掛かりな模様替えをしなくても手軽にできる「空間の区切り方」のアイデアをご紹介します。空間に心地よいメリハリをつけることで、日々の暮らしがより豊かになるヒントを見つけていただけたら嬉しいです。
なぜ「空間の区切り方」が心に影響するのでしょう?
私たちの心は、周りの環境から様々な影響を受けています。特に毎日多くの時間を過ごす家の中の空間は、私たちの気分や行動に深く関わっています。
空間心理では、部屋の使い方や配置、色などが、安心感、集中力、リラックスといった心の状態に影響を与えると考えます。
例えば、一つの広い空間でも、視覚的に「ここは食事をする場所」「ここはゆっくりくつろぐ場所」といった区切りがあることで、私たちは自然とその場所の目的に合った気持ちになれます。
ご夫婦二人の暮らしでは、リビングでそれぞれが読書をしたり趣味を楽しんだりする時間と、一緒に会話を楽しむ時間など、同じ空間でも異なる過ごし方をすることがありますよね。空間に緩やかな区切りがあることで、それぞれの時間を大切にしつつ、互いの存在も心地よく感じられるようになります。
手軽にできる!心地よい空間の区切り方アイデア
では、どのように空間にメリハリをつけることができるのでしょうか?大掛かりなリフォームや家具の買い替えは不要です。今あるものを活かしたり、小さなアイテムをプラスしたりするだけで、十分に心地よい変化を生み出せます。
1. 家具の配置で視覚的な区切りを作る
家具の配置は、空間の印象を大きく変える最も手軽な方法の一つです。
- ソファの向きを変えてみる: リビングのソファの向きを少し変えるだけで、空間の用途を分けることができます。例えば、ソファを壁付けにせず、部屋の中央寄りに配置してダイニングスペースとの間に背を向けるように置くと、ソファの周りが自然と「くつろぎゾーン」になります。窓の外を眺められるように配置すれば、心が解放されるような心地よさが生まれることもあります。
- 低めの家具を間仕切りに: 背の低いシェルフやチェストなどを、空間を分けたい場所に置きます。完全に視界を遮らず、圧迫感なく緩やかに空間を区切ることができます。飾り棚として季節の小物を飾ることで、さらに心地よさが増します。
2. ラグやカーペットで「ここち」を分ける
敷物は、空間を区切る視覚的な効果と、足元の感触による心理的な効果の両方を持っています。
- 特定の場所の下に敷く: リビングのくつろぎたい場所にだけラグを敷くと、その範囲が「特別な空間」のように感じられます。ソファとローテーブル、その周りにラグがあるだけで、そこに座ったり寝転んだりする時の心地よさが格段に増します。
- 色の効果も利用: ラグの色によっても空間の雰囲気が変わります。例えば、落ち着いたベージュやグレーのラグはリラックス感を、明るいブルーやグリーンは爽やかさを生み出します。部屋全体のテーマカラーに合わせて選ぶと、統一感も生まれます。
3. 色のアクセントで意識を切り替える
壁の色を変えるのは大変ですが、クッションやブランケット、カーテン、小物などのファブリックの色を変えるだけで、空間の印象とそれに伴う心の状態を変えることができます。
- くつろぎスペースに落ち着く色: ソファ周りに、ベージュ、ブラウン、グリーンなどの落ち着いた色のクッションやブランケットを取り入れましょう。視覚的に心が安らぎ、リラックスしやすくなります。
- 活動スペースに明るい色: 例えば、趣味の作業をするスペースの近くに、気分が明るくなる黄色やオレンジの小物(ペン立て、写真立てなど)を置くと、自然と心が前向きになる効果が期待できます。
- カーテンで窓辺を心地よく: レースカーテンの色や柄を変えるだけでも、窓から入る光の印象が変わり、部屋全体の雰囲気が優しくなったり、爽やかになったりします。
4. 照明の使い分けで雰囲気を作る
照明は、空間の雰囲気を大きく左右します。部屋全体を明るくするだけでなく、特定の場所だけを照らすことで、そこに注目させ、空間を区切る効果があります。
- 読書灯やフロアランプ: ソファの横や椅子のそばにスタンドライトを置くと、そこが自然と読書や考え事をするための「集中・リラックススペース」になります。温かみのある電球色の光は、心を落ち着かせる効果があります。
5. 孫が来た時のための手軽な工夫
お孫さんが遊びに来る際は、安全で遊びやすい空間を作ってあげたいですよね。
- リビングの一角に「遊びスペース」を: ラグを敷いた一角に、おもちゃ箱を置くだけで、そこが自然と子供たちの遊び場になります。家具の角にクッション材をつけたり、倒れやすいものを片付けたりと、簡単な安全対策も忘れずに行いましょう。
- 大人の空間と区切る: 可能であれば、背の低いブックシェルフやパーテーションで大人のくつろぎスペースと緩やかに区切ると、お互いの時間を尊重しながら過ごせます。
小さな変化が心地よい家時間を作る
ご紹介したアイデアは、どれも今すぐにでも試せるような手軽なものばかりです。
大切なのは、「こうしなければならない」と難しく考えるのではなく、「もっと心地よく過ごすためにはどうしたらいいかな?」と、ご自身の心の声に耳を傾けながら、楽しみながら工夫してみることです。
ほんの少し家具の配置を変えてみたり、クッションの色を替えてみたり。その小さな一歩が、家の中の空気やご自身の心の状態をポジティブに変えるきっかけになります。
空間に心地よいメリハリが生まれると、ご夫婦それぞれの時間も、一緒に過ごす時間も、より充実したものになるはずです。お孫さんを迎える時も、ゆったりとした気持ちで向き合えるかもしれません。
ぜひ、今日からできる小さな工夫を見つけて、ご自身の心地よい家時間を作ってみてください。応援しています。