夫婦二人の部屋、モノが増えても大丈夫。空間心理で心地よく整える手軽な色と配置のヒント
夫婦二人の暮らし、少し増えたモノと心地よく暮らすには
お子様の独立など、ご家族の形が変わられた後、夫婦二人の暮らしが始まるのは素敵な時間ですね。一方で、これまでの荷物や、新しく始めたご夫婦それぞれの趣味のモノなど、気がつけば部屋に少しモノが増えてきたと感じることはありませんか。
たくさんのモノに囲まれていると、なんとなく落ち着かなかったり、探したいものが見つかりにくかったりと、心の負担になることもあります。でも、大がかりな片付けや模様替えは大変に感じられますよね。
実は、空間心理の考え方を取り入れると、モノが増えても心地よさを保つヒントが見えてきます。今回は、手軽な「配置」と「色」の工夫で、増えたモノとも上手に付き合いながら、心穏やかな空間を作るアイデアをご紹介します。
空間心理から見る「モノと心」の関係
私たちの心は、周りの空間から様々な影響を受けています。空間心理では、部屋にあるモノの量や配置、色が、無意識のうちに安心感や開放感、時には圧迫感や散漫な気持ちにつながると考えられています。
モノが多い空間では、視覚的な情報が増え、脳が処理する情報量が多くなります。これが、なんとなく「落ち着かない」「ごちゃごちゃしている」といった心の状態につながることがあります。逆に、整理されていてスッキリした空間は、心にゆとりや落ち着きをもたらしやすいと言われます。
しかし、「モノを減らさなければ心地よくなれない」というわけではありません。今あるモノたちを、どのように配置し、どのような色と組み合わせるかで、空間の見え方やそこで過ごす時の心の感じ方は大きく変わるのです。
手軽な「配置」の工夫でスッキリ心地よく
大がかりな家具の移動ではなく、今あるモノや小さな家具の配置を少し変えるだけでも、部屋の印象や心地よさは変わります。
- 「余白」を意識してみる: 壁一面に家具を並べるのではなく、少し隙間を作ったり、床に直接モノを置く量を減らしたりすると、空間に「余白」が生まれます。この余白が、視覚的なゆとりとなり、心に開放感をもたらしてくれます。例えば、飾り棚の一段をあえて何も置かないスペースにする、壁沿いの家具を数センチ壁から離してみるなど、小さなことから試せます。
- 視線の抜けを作る: 部屋に入った時に、奥まで視線がスーッと通るように配置すると、部屋が広く感じられ、心も軽やかになります。背の高い家具を手前に置かない、通路になる場所にはモノを置かないといった工夫が有効です。
- 「使う場所」と「しまう場所」を近づける: よく使うモノ(読みかけの本、眼鏡、リモコンなど)が、使う場所のすぐ近くにあると、探す手間が省け、イライラが減ります。小さなサイドテーブルやバスケットなどを活用し、一時置き場を決めるだけでも、散らかりを防ぎ心地よさを保てます。
- 特定のコーナーを決める: 例えば、郵便物や書類の一時置き場、鍵や財布などの定位置など、特定の目的のための「コーナー」を決めると、モノが行き場をなくしてさまようことを防げます。見た目も整理されている印象になり、心も落ち着きます。
「色」の力で心地よい空間を演出
色は私たちの感情や気分にダイレクトに働きかけます。増えたモノがある空間でも、取り入れる色を工夫することで、スッキリ見せたり、落ち着きを加えたりすることができます。
- スッキリ見せるベースカラー: 壁の色を変えるのは大変ですが、クッションカバー、ブランケット、カーテン、ラグといった面積の大きなファブリックに、オフホワイト、ベージュ、ライトグレーなどの明るく落ち着いた色を取り入れると、空間全体が明るく、モノが多少多くてもスッキリとした印象になります。これらの色は、どんな色とも馴染みやすく、安心感を与えてくれます。
- 「まとまり」を生む色の統一: 小さな収納ボックスやファイルケースの色を揃えるだけでも、見た目に統一感が生まれ、モノが多くても整然とした印象になります。色は白や半透明にすると圧迫感がありません。
- 視線を誘導するアクセントカラー: お気に入りの雑貨や花瓶など、見せたいモノに明るい色や鮮やかな色を使うと、そこに自然と視線が誘導されます。そうすることで、他の場所にあるモノへの意識が薄れ、気になる部分から注意をそらす効果が期待できます。ただし、アクセントカラーは使いすぎず、少量に抑えるのがポイントです。
- 目隠し布の色: 物が多い棚や収納スペースには、布をかけて目隠しするのも良い方法です。この布の色を、部屋のベースカラーや、リラックスできる落ち着いた色(グリーン系、ブルー系など)にすると、視覚的なノイズが減り、空間に落ち着きが生まれます。
小さな変化が心にゆとりを
例えば、リビングのソファ横に置いた小さなテーブルの上を片付けて、お気に入りの花を飾ってみる。増えた本を種類ごとにまとめて、落ち着いた色のブックエンドで仕切ってみる。ダイニングテーブルの上のつい置いてしまいがちなモノを、おしゃれなカゴに入れてまとめてみる。
これらの小さな配置換えや色の追加は、時間もコストもほとんどかかりません。でも、その一つ一つが、空間に新しい「流れ」や「まとまり」を生み出し、目に入る景色を変えてくれます。
その変化は、私たちの心にも良い影響を与えます。スッキリした場所があることで、気持ちが穏やかになったり、探し物がすぐに見つかることで、日々の小さなストレスが減ったり。そして、お気に入りの色や配置によって、空間に愛着が湧き、そこで過ごす時間がより心地よいものになるでしょう。
まとめ
モノが増えてきたと感じる部屋でも、空間心理に基づいた「配置」と「色」の工夫を取り入れることで、心穏やかな心地よい空間は実現できます。大がかりな模様替えや片付けに気負う必要はありません。
まずは、あなたが一番気になる場所、ほんの小さな一角から試してみてはいかがでしょうか。サイドテーブルの上、棚の一段、特定の壁の前など、変化をつけやすい場所を見つけて、心地よい配置や心安らぐ色を取り入れてみてください。
その小さな一歩が、きっとご夫婦二人の大切な時間を、より豊かで心地よいものにしてくれるはずです。ご自身のペースで、楽しみながら空間づくりを進めてみてください。