空間心理で心地よい明かりを。手軽な照明の工夫で心穏やかな空間づくり
お部屋の明かりで、心がふわりと軽くなる
ご家族の独立など、暮らしの変化に合わせて、お部屋の見え方も変わってきたと感じる方もいらっしゃるかもしれませんね。これまで賑やかだった空間が少し静かになったり、夫婦二人で過ごす時間が増えたり。
そんな時、お部屋の雰囲気は、知らず知らずのうちに私たちの心に寄り添ってくれています。そして、その空間の雰囲気を大きく左右するのが「明かり」です。
「照明」と聞くと、大掛かりな工事が必要なのでは?と思われるかもしれませんが、実は、今ある照明にちょっとした工夫をプラスするだけで、お部屋の印象だけでなく、心持ちまで穏やかに変えることができるのです。
この記事では、空間心理の考え方を取り入れながら、手軽にできる照明の工夫と、それがもたらす心のポジティブな変化についてお話ししたいと思います。
空間心理から見る「明かり」の効果
空間心理では、私たちの周りにある空間の色や形、配置だけでなく、「光」も心に大きな影響を与えると考えられています。特に照明は、部屋の明るさや色、陰影を作り出し、空間の雰囲気を一変させる力を持っています。
例えば、明るくて白い光の下では活動的になったり、少し暗めの暖かみのある光の下ではリラックスできたり。このように、光の種類や使い方一つで、気分が変わることを多くの方が経験されているのではないでしょうか。
手軽な照明の工夫を取り入れることで、今の暮らしに寄り添う、より心地よい空間と、それに連動する穏やかな心を手に入れることが期待できます。
手軽に始める!心地よい照明の工夫と心理効果
では、具体的にどのような照明の工夫が手軽にできるのでしょうか。ここでは、特別な知識や工事が不要なアイデアをいくつかご紹介します。
1. 光の色を変えてみる(電球交換)
お部屋全体の雰囲気を最も簡単に変える方法の一つが、電球の色を変えることです。
- 電球色(暖色系のオレンジっぽい光):
- 心理効果: リラックス効果、安心感、温かさ、落ち着き。
- おすすめの場所と工夫: 夫婦でくつろぐリビングや寝室にぴったりです。天井照明の電球を電球色に変えるだけでも、ぐっと落ち着いた空間になります。スタンドライトやテーブルランプに使うと、より温かみのあるコーナーが作れます。
- 昼白色(太陽の光に近い自然な白い光):
- 心理効果: 自然な明るさ、活動しやすい、集中しやすい。
- おすすめの場所と工夫: キッチンや洗面所など、作業をする場所に適しています。リビングでも、読書や書き物をする際に手元だけ昼白色のスタンドライトを使うなど、用途に合わせて部分的に取り入れるのも良いでしょう。
2. 明るさを調整する(調光機能や複数の照明)
一つの照明器具だけで部屋全体を均一に明るくするよりも、複数の照明を組み合わせたり、明るさを調整できる照明を使うと、より柔軟で心地よい空間が作れます。
- 心理効果: 時間帯や活動に合わせて光を調整することで、心の切り替えがスムーズになります。明るくすれば活発に、暗くすればリラックスしやすくなります。
- おすすめの場所と工夫: リビングの天井照明に調光機能があれば活用してみましょう。夜は明るさを落とすだけで、落ち着いたバーのような雰囲気に変わります。調光機能がない場合でも、天井照明を暗めにして、必要な場所だけスタンドライトで補うようにすると、陰影が生まれ、奥行きのある落ち着いた空間になります。
3. 光の向きを変えてみる(間接照明)
壁や天井に光を当てて反射させる「間接照明」は、空間に柔らかさと奥行きを与え、リラックス効果を高めます。
- 心理効果: 包み込まれるような安心感、落ち着き、ゆったりとした気分。空間を広く感じさせる効果も期待できます。
- おすすめの場所と工夫: スタンドライトを壁際に置いたり、棚の上に小さなライトを置いて天井や壁に向けて照らすだけで、手軽に間接照明のような雰囲気が作れます。テレビの後ろに細長いライトを置くのも人気です。大掛かりな工事は不要で、お部屋のコーナーに一つプラスするだけで、ぐっとおしゃれで落ち着いた空間になります。
4. 部分的な照明で「居場所」を作る
部屋全体を明るくするだけでなく、特定の場所だけを照らす照明は、その場所を「居場所」として際立たせ、安心感を与えます。
- 心理効果: 集中、安心感、パーソナルスペース。
- おすすめの場所と工夫: 読書用のソファの横にフロアライトを置く、ベッドサイドにテーブルランプを置く、趣味の作業をする手元にクリップライトを付けるなど。必要な場所に必要な明るさがあることで、心が落ち着き、その時間に集中しやすくなります。孫が遊びに来た時に、遊びたい場所だけを優しく明るくするのも良いでしょう。
暮らしに合わせた照明の応用アイデア
- 夫婦二人のリビング: 天井照明は少し明るさを抑えめにして、ソファ周りに電球色のスタンドライトやフロアライトをプラス。壁に光を当てる間接照明を取り入れると、会話が弾む穏やかな空間になります。
- 落ち着いた寝室: 暖かみのある電球色の明かりで、寝る前に心身をリラックスさせましょう。ベッドサイドに小さなテーブルランプを置くと、本を読むのにも便利ですし、夜中に起きる時も眩しすぎず安心です。
- 孫が遊びに来る時: 子供が安全に遊べるよう、ある程度の明るさは必要ですが、直接的な強い光は避けたいものです。部屋全体の明るさを調整できると便利です。また、遊ぶスペースの近くに、倒れにくく安全なスタンドライトを置くなど、部分的に明るさを補う工夫も良いでしょう。
小さな明かりの工夫が、大きな心の変化に
お部屋の照明を少し変えてみるという小さな工夫が、私たちの心に予想以上のポジティブな変化をもたらすことがあります。
明るさや光の色、そして光の当て方を変えるだけで、部屋の雰囲気が変わり、それに合わせて心の状態も穏やかになったり、リラックスできたり、活動的になれたりするのです。
大規模な模様替えやリフォームは大変ですが、照明に関することなら、電球一つを変えることからでも気軽に始められます。お気に入りのスタンドライトを見つけてコーナーに置くだけでも、そこが心地よい「私の場所」になります。
ぜひ、今日からでも手軽にできる照明の工夫を取り入れて、ご自身の心と体が本当に安らぐ、心地よい空間を育んでみてください。きっと、毎日の暮らしがより豊かで穏やかなものになることでしょう。