空間心理で叶える、見るたび心が安らぐ部屋。手軽な絵と飾りの心地よい配置術
年齢を重ね、お子様が独立されるなどして、ご夫婦二人の生活スタイルに合わせたお部屋づくりを考える機会が増えた方もいらっしゃるのではないでしょうか。大掛かりな模様替えは少し大変と感じる一方で、今の空間をもっと心地よく、心穏やかに過ごせる場所にしたいと思われるかもしれません。
実は、お部屋にある「絵」や「飾り」といった小さなものにも、私たちの心に影響を与える力があります。ふと目にした時に「素敵だな」「ホッとするな」と感じるものがあると、それだけで心が安らぐことがありますよね。
この記事では、空間心理の視点から、絵や飾りをどのように取り入れ、どこに飾ると、心地よさや安心感につながるのか、手軽にできるアイデアをご紹介します。
空間心理から見る「視覚情報」と「心のつながり」
私たちの心は、目から入ってくる視覚情報から大きな影響を受けています。お部屋の「色」や「形」、そして「配置」は、知らず知らずのうちに、私たちの気分や感情に働きかけているのです。
特に、絵や飾りは、お部屋の中で自然と視線が集まりやすい「フォーカルポイント」となり得ます。そこに何があるか、どんな色や形をしているかで、お部屋全体の印象だけでなく、それを見るたびに感じる心の状態が変わってきます。
心地よい絵や飾りを目にすることは、心に安らぎや喜びをもたらし、日々の生活に穏やかな彩りを与えてくれるのです。
手軽に試せる!絵や飾りの「色」が心に与える影響
まずは、手軽に取り入れやすい「色」について考えてみましょう。飾る絵や小物の色を変えるだけでも、お部屋の雰囲気や心の状態に変化を感じられることがあります。
- 青色や緑色: 心を落ち着かせ、リラックス効果が期待できます。寝室や、ゆったり過ごしたいリビングの一角におすすめです。自然の風景画なども良いでしょう。
- 暖色系(オレンジ、黄色、ピンクなど): 部屋を温かく明るい雰囲気にし、気分を前向きにする効果があると言われます。家族が集まる場所や、少し寂しさを感じやすい場所に小さな暖色系の飾りを置いてみるのも良いかもしれません。
- 白色やベージュ: 清潔感や広がりを感じさせ、心を穏やかに保つ助けとなります。すっきりさせたい場所や、他の色とのバランスを取りたい時に取り入れやすい色です。
- グレーやアースカラー: 落ち着きがあり、洗練された印象を与えます。心を安定させたい時や、派手な色を避けたい場合に心地よく馴染みます。
大掛かりな絵ではなく、ポストカードやお子様・お孫様の絵、小さな置物など、手軽に手に入るものでも大丈夫です。まずは「この色、好きだな」「この色を見ると落ち着くな」と感じるものから試してみてください。クッションカバーやひざ掛けの色と合わせるのも統一感が出て心地よいですね。
空間を心地よく彩る「配置」の工夫
次に、絵や飾りの「配置」について考えてみましょう。どこに何を飾るかで、お部屋の見え方や、あなたが感じる心地よさが変わってきます。
- 「視線の先」に飾る: ドアを開けて部屋に入った時、ソファに座った時、椅子に腰掛けた時など、あなたが自然と視線を向ける場所に心地よい絵や飾りを置いてみましょう。見るたびに心が「ホッ」とするような、お気に入りのものを飾るのがおすすめです。例えば、リビングの壁の中心や、棚の上などが考えられます。
- 「ふとした場所」に小さな安らぎを: 廊下の突き当たり、階段の途中、キッチンや洗面所のちょっとしたスペースなど、普段あまり意識しない場所にも小さな飾りを置いてみてください。通り過ぎる瞬間に優しい色や形が目に入ることで、日常の中にささやかな癒やしの瞬間が生まれます。
- テーマを決めて飾る: 家族の写真、旅行の思い出の品、集めている小さな置物など、テーマを決めて一箇所にまとめて飾ると、見るたびに心地よい記憶が蘇り、心を満たしてくれます。大きなスペースでなくても、棚の一段や壁の小さな範囲でも素敵な「思い出コーナー」「癒やしコーナー」が作れます。
- 「余白」を大切に: たくさん飾りすぎると、かえって圧迫感を感じたり、心が落ち着かなくなったりすることがあります。飾るものだけでなく、その周りの「余白」も大切にしましょう。空間にゆとりがあることで、飾ったものが引き立ち、心にもゆとりが生まれることがあります。
- 高さの工夫: 絵を飾る際は、あなたがソファに座った時や立った時の「目線の高さ」に合わせると、自然に心地よく見ることができます。小さなお孫様が遊びに来る場合は、手の届かない少し高い位置に飾るなどの配慮も大切です。
特別なアート作品である必要はありません。お土産の小さな置物、拾ってきた木の枝、庭で摘んだお花を飾るだけでも、空間は心地よく変わります。
小さな絵や飾りがもたらす心のポジティブな変化
お気に入りの絵や飾りを、心地よいと感じる色や配置で飾ることは、あなたの心に様々な良い影響をもたらしてくれます。
- リラックス効果: 好きな色や安らぐ風景の絵は、見るだけで緊張を和らげ、心身のリラックスを促します。
- 気分転換: 気分が沈んだ時や、少し疲れた時に、お部屋の心地よい飾りに目を向けることで、気持ちを切り替えるきっかけになります。
- 安心感や喜び: 家族の写真や思い出の品は、見るたびに温かい気持ちになり、安心感や日々の小さな喜びを感じさせてくれます。
- 会話のきっかけ: 飾っているものについてご夫婦で話したり、お孫様に説明したりすることで、自然とコミュニケーションが生まれることもあります。
- 自分を大切にする気持ち: 自分が心地よいと感じるものを選んで飾るという行為自体が、「自分は心地よさを求めているんだな」と気づき、自分を大切にすることにつながります。
まとめ
お部屋にある絵や飾りは、単なる装飾品ではありません。空間心理の視点で見ると、それらは私たちの心に静かに語りかけ、心地よさや安らぎを与えてくれる大切な要素です。
大掛かりな模様替えをしなくても、お気に入りの絵を一枚飾ってみる、小さな置物の色を変えてみる、棚の上の配置を少しだけ変えてみる。そんな手軽な一歩からでも、お部屋の雰囲気は変わり、それに合わせてあなたの心も少しずつポジティブな方向へと変化していくことでしょう。
見るたびに心が安らぐ、そんな心地よい空間を、絵や飾りの力を借りて、ぜひ手軽に作ってみてください。あなたの毎日が、より穏やかで豊かな時間になることを願っています。