空間心理で和室・仏間を心地よく。家族の思い出と未来を紡ぐ手軽な色と配置のヒント
和室や仏間、家族の歴史とこれからの時間を心地よく
住まいの中にある和室や仏間は、家族の歴史や思い出が詰まった特別な場所かもしれません。お子さまが独立され、ご夫婦お二人での暮らしが中心になると、かつてとは部屋の使い方が変わってきたと感じる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
広縁で日向ぼっこをしたり、お客様をお通ししたり、時にはお孫さんが遊びに来て賑やかになったり。仏間であれば、ご先祖様に手を合わせる大切な空間でもあります。
こうした空間を、大掛かりな模様替えをしなくても、手軽な工夫で今をもっと心地よく、そしてこれからの時間も大切にできる場所に変えてみませんか。ここでは、空間心理の考え方を取り入れながら、和室や仏間を手軽な色や配置で心地よくするヒントをお伝えします。
なぜ和室・仏間は心地よいのか?空間心理の視点から
和室には、畳の香りや木材の温かみなど、自然素材が多く使われています。また、椅子を使わずに床に座ることで視線が低くなり、地面に近い安心感や落ち着きを感じやすい空間と言われます。
空間心理では、私たちが無意識のうちに部屋の持つ雰囲気や構造から様々な影響を受けていると考えます。和室や仏間が本来持っている「落ち着き」「つながり」といった要素を手軽な工夫で引き出すことで、私たちの心にも穏やかさや安らぎがもたらされるのです。
手軽な「色」の工夫で和室・仏間に安らぎを
和室や仏間の色といえば、畳の緑や木部の茶色、砂壁の色など、アースカラーが中心です。これらの色は自然を連想させ、安心感や落ち着きをもたらしてくれます。このベースの色に、いくつかの色を小物でプラスすることで、より心地よい空間を演出できます。
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落ち着きと癒やしを深める「緑」や「青」
- 畳の色とも馴染みやすい緑は、観葉植物だけでなく、座布団カバーやクッション、小さなタペストリーなどで取り入れると、さらに癒やしの効果が高まります。
- 空や海を思わせる青は、心を落ち着かせ、リラックス効果が期待できます。濃すぎる青は避けて、水色やターコイズブルーのような明るめの色を、座布団やカーテン、花瓶などでアクセントに使うのがおすすめです。
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穏やかさと品格をプラスする「紫」や「ベージュ」
- 仏間であれば、紫は落ち着きと品格を感じさせる色です。お仏壇周りの小物や、部屋全体のトーンに合わせやすいベージュの座布団などを取り入れると、厳かながらも温かみのある空間になります。
- ベージュはどんな色とも合わせやすく、空間に広がりと安心感を与えてくれます。カーテンやラグ、ブランケットなどで取り入れてみてください。
手軽なポイント: 壁の色を変えるのは大変でも、布製品の色を変えるのはとても簡単です。季節ごとに色を変えるだけでも、気分が変わり、部屋の印象も手軽にリフレッシュできます。
手軽な「配置」の工夫で和室・仏間をもっと快適に
和室や仏間の心地よさは、色の他にも「配置」が大きく影響します。大きな家具を動かすのは大変ですが、ちょっとした物の配置を変えるだけで、使いやすさや心の感じ方が変わってきます。
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ゆとりを作る配置
- 物を詰め込みすぎないことが大切です。空間に「余白」を作ることで、視覚的な圧迫感が減り、心にもゆとりが生まれます。
- 大きな家具は壁際に寄せ、部屋の中央にはあまり物を置かないようにすると、動線がスムーズになり、部屋が広く感じられます。
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仏壇周りの配置
- お仏壇の周りは、常に清潔で整理されていることが、手を合わせる際の心の状態にも繋がります。
- お供え物や仏具は、必要なものだけを厳選し、色合いも落ち着いたものを選ぶと良いでしょう。視線を遮るような高い物を周りに置かないようにすると、より静かで穏やかな空間になります。
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来客や孫のための配置
- お客様や、お孫さんが遊びに来る時には、一時的に部屋のレイアウトを少し変えてみましょう。
- 例えば、部屋の隅に寄り添って座れるスペースを空けたり、お孫さんが安全に遊べるように、割れやすいものや倒れやすいものを一時的に移動させたりします。低いテーブルやクッションをいくつか用意しておくと、みんなで囲みやすく、自然と会話が弾むでしょう。
- 使わない座布団や小物は、押入れや他の部屋に一時的に移動させて、部屋の中央に広い遊びのスペースを作るのも手軽な方法です。
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思い出の品の心地よい飾り方
- 和室や仏間には、お子さまの成長の記録や、ご先祖様に関わる品など、思い出の品があるかもしれません。
- 全てを飾るのではなく、厳選した数点を、目に留まるけれど邪魔にならない場所に飾ってみましょう。小さな棚や壁に付けられる飾り棚などを活用すると、床に物を置かずに済み、掃除もしやすくなります。無理なく、心地よく眺められる配置を心がけてください。
手軽なポイント: 大きな家具の移動が難しければ、座布団やクッション、小さな台などの配置を変えるだけでも、部屋の使い勝手や雰囲気が変わります。まずは小さなコーナーから試してみてはいかがでしょうか。
小さな変化から、心地よい和室・仏間を
和室や仏間は、家族の歴史と今、そしてこれからの時間を繋ぐ大切な空間です。空間心理の考え方を少し取り入れて、手軽な色や配置の工夫をすることで、より心地よい、そして心穏やかに過ごせる場所にすることができます。
ご夫婦お二人で静かに語らう時間、お孫さんの賑やかな笑い声、そしてご先祖様への感謝の気持ち。それぞれの時間が、心地よい空間の中でより豊かなものとなることを願っています。難しく考えず、クッションの色を変えたり、座布団の配置を変えたりといった小さな一歩から始めてみませんか。その小さな変化が、きっと心にも穏やかな風を運んでくれるはずです。