空間心理で一日を心地よく始める。朝の身支度スペースの手軽な色と配置の工夫
毎日の始まりである朝の身支度。慌ただしく済ませてしまうことも多い時間かもしれません。でも、もしこの身支度をする空間が、ちょっとした工夫で心地よい場所になったら、一日の始まりがもっと気持ちよくなるのではないでしょうか。
空間心理という考え方では、私たちの身の回りにある「空間」が、知らず知らずのうちに心に様々な影響を与えていると考えられています。部屋の配置や色、そこに置かれているものなどが、心地よさや安心感、あるいはその逆の気持ちを引き起こすことがあるのです。
この記事では、空間心理の視点を取り入れながら、朝の身支度をする洗面所やドレッサー周り、クローゼットといったスペースを、手軽な色と配置の工夫で心地よく変えるアイデアをご紹介いたします。
空間心理で考える「心地よい身支度スペース」とは
私たちは朝、鏡を見て顔を洗ったり、メイクをしたり、着る服を選んだりします。この一連の動作を行う空間が、明るく整頓されていて、視覚的に心地よい色に囲まれていると、気分が前向きになりやすく、自信を持って一日をスタートできると言われています。
逆に、物が散らかっていたり、暗く殺風景な空間だったりすると、無意識のうちにストレスを感じたり、気分が沈んだりすることがあります。大掛かりなリフォームや模様替えは難しくても、身近な場所から少しずつ変えていくことで、心に良い影響を与えることができるのです。
手軽にできる「色」の工夫:気分を上げる、落ち着きをもたらす
身支度スペースに取り入れる「色」は、その日の気分に大きく影響します。
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洗面所などのメイクスペースには「明るく清潔感のある色」を メイクをする場所では、顔色が正確に見えるように、照明の色だけでなく周囲の色も大切です。空間心理では、白や淡いグレー、ペールブルーといった清潔感のある色が、気持ちをすっきりとさせ、身だしなみを整えることに集中させてくれると言われています。タオルやマット、小物入れなどをこれらの色で揃えるだけでも雰囲気が変わります。
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気分を上げたいなら「好きな色」をアクセントに ドレッサーの引き出しの中や、壁の一角に飾る小物などに、ご自身の好きな色を取り入れてみましょう。見ているだけで気分が明るくなるような色をワンポイントで使うと、毎日の身支度が楽しい時間になります。例えば、小さな花瓶やアクセサリートレイの色を変えてみるのはいかがでしょうか。
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クローゼット内には「落ち着いた色」で安心感を 服を選ぶクローゼットの中は、物がたくさんあり雑然としがちな場所でもあります。空間心理では、目に優しいグリーン系やアースカラーなど、落ち着いた色を取り入れることで、気持ちが穏やかになり、じっくりと服を選びやすくなると考えられています。収納ボックスの色を統一したり、クローゼットの奥に落ち着いた色の布を一枚かけるだけでも効果が期待できます。
手軽にできる「配置」の工夫:スムーズな動線と心地よい視界
次に、身支度スペースの「配置」に関するアイデアです。物の置き場所や鏡の位置など、ちょっとした変更で使いやすさと心地よさが向上します。
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鏡の配置を見直す 洗面所の鏡や姿見は、身支度に欠かせません。空間心理では、鏡に心地よい景色(例えば、窓から見える景色や、お気に入りの飾りなど)が映るように配置すると、空間に広がりを感じさせ、気持ちも明るくなると言われています。また、鏡の前に立つ際に、背後に圧迫感がないように物を置かないことも大切です。
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「よく使うもの」は取りやすく、戻しやすい場所に スキンケア用品、メイク道具、アクセサリーなど、毎朝使うものは、すぐに手に取れる場所に配置しましょう。探す手間がなくなるだけで、朝の慌ただしさが軽減され、スムーズに身支度を進めることができます。使い終わったら元の場所に戻す習慣をつけるために、それぞれの「定位置」を決め、その場所が分かりやすいように配置すると、整理整頓が楽になり、心地よさが保たれます。
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「視界に入るもの」を心地よく整える 身支度中にふと目に入る場所に、好きな写真や小さな植物などを飾ってみましょう。空間心理では、心地よいものが視界に入ることで、心が和み、リラックス効果が得られると言われています。ただし、飾りすぎると雑然としてしまうため、厳選して配置するのがポイントです。
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孫が来た時にも安心な配置を考える お子様やお孫様がご自宅に来られる際には、背の高いものや倒れやすいもの、割れやすいものなどは、手の届かない場所に移したり、収納の中にしまったりと、安全を考慮した配置にしておくと安心です。普段の配置から少し変更するだけで、来訪時も慌てずに済み、心穏やかに過ごせます。
小さな変化が、一日の心地よさにつながる
洗面所のタオルを好きな色のものに変えてみる。ドレッサーの引き出しに仕切りを設け、コスメを見やすく並べ直す。クローゼットの中に、見るたび心が和むような小物を一つ置いてみる。
これらの工夫は、どれも大掛かりなものではありません。でも、こうした小さな変化を身支度スペースに取り入れることで、毎朝の時間が少しずつ心地よいものに変わっていくはずです。空間心理の知恵を借りながら、ご自身のペースで、手軽にできることから始めてみませんか。
心地よい身支度空間で一日をスタートすることは、心にゆとりを生み、その日一日を前向きな気持ちで過ごすための一歩になります。ぜひ、今日からでもできる小さな工夫を見つけて、試してみてください。