空間心理で毎日の午後を心地よく。手軽な色と配置で家事や趣味がはかどるヒント
午後の時間を心地よく、もっと活動的に
お子様が独立され、ご夫婦お二人での暮らしは、午前中に用事を済ませた後、午後の時間をゆったりと過ごされる方も多いかもしれません。一方で、「午後になると、どうも気分が乗らない」「家事や趣味に集中したいのに、なんだか億劫になってしまう」と感じることはありませんでしょうか。
実は、私たちの心の状態は、身を置く空間に大きな影響を受けています。部屋の色や物の配置といった、一見些細に思えることが、気分や集中力、やる気といった心の働きに関わっているのです。これが「空間心理」の考え方です。
この空間心理の知識を少し取り入れるだけで、大掛かりな模様替えをしなくても、午後の時間をより心地よく、活動的に変えることができます。この記事では、手軽に試せる色と配置の工夫を通じて、毎日の午後を充実させるヒントをご紹介します。
なぜ空間が心に影響するのでしょう?
私たちは、目から入る色や、体の周りの空間の広がり、物の位置関係などを無意識のうちに感じ取っています。これらの情報は脳に伝わり、感情や行動に影響を与えます。
例えば、鮮やかな色を見ると心が弾んだり、散らかっている場所にいると落ち着かなかったりするのは、空間からの情報が心に働きかけているからです。午後に気分を切り替え、家事や趣味といった活動に前向きに取り組むためには、それに適した空間からの「心地よい刺激」を取り入れることが大切になります。
手軽な「色」の工夫で午後の気分をスイッチ
1. 集中力を高めたい時の「落ち着き色」
家計簿をつけたり、書き物をしたり、集中して取り組みたい作業がある時におすすめなのは、青や緑といった落ち着いた色です。これらの色は、心を静め、集中力を高める効果があると言われています。
例えば、作業をするテーブルの近くに置くペン立ての色を青にしてみたり、座る椅子のクッションカバーを薄いグリーンに変えてみたりするのはいかがでしょうか。ノートやファイルの色を意識するのも良いでしょう。大きな面積でなくても、視界に入る小さなアイテムの色を変えるだけで、心の準備が整いやすくなります。
2. 活動的になりたい時の「明るさ色」
少し気分が落ち込んでいる時や、億劫に感じる家事(例えばアイロンがけや軽い掃除など)に取り組む前には、オレンジや黄色のような暖色系の色がおすすめです。これらの色は、心を明るくし、活動的な気分を後押ししてくれます。
リビングの一角にある作業スペースに、オレンジ色の小さなマットを敷いてみたり、手芸をする際に使う道具入れを黄色のものに変えてみたり。また、午後のティータイムに使うカップやソーサーを明るい色にするのも、気分転換になります。部屋全体ではなく、これから作業する場所や使うアイテムに意識的に明るい色を取り入れてみてください。
手軽な「配置」の工夫で動きやすく、集中しやすく
1. 作業スペースの「向き」を見直す
特定の場所で作業をすることが多い場合、その場所の「向き」を少し変えるだけで心地よさが変わることがあります。壁に向かって座ると、視界が限定されて集中しやすくなると言われます。一方、窓の外が見える場所は開放感がありますが、気が散りやすいことも。
いつもダイニングテーブルで作業しているなら、座る位置を窓側にしてみたり、あえて壁側に向けてみたりと、少し変えてみるのも手です。ご自身の心が落ち着き、作業に集中しやすいと感じる向きを見つけてみてください。椅子を少し回転させるだけでも、いつもと違う感覚が生まれることがあります。
2. 物の「定位置」を決めて視界をすっきり
集中したい時や、さっと家事に取りかかりたい時、視界に余計な物が入ると気が散ってしまいがちです。特に、午後に使うことが多い家事道具や趣味の道具は、手軽に使える場所に定位置を決めておくと良いでしょう。
例えば、午後の読書や書き物で使う眼鏡やペンは、テーブルのすぐ手の届くカゴに入れる。アイロンをかける場所の近くに、アイロン台やスプレーをまとめて置くスペースを作る。このように「この場所でこれをする」という動線と連動した配置にすることで、無駄な動きが減り、心もスムーズに活動へと向かいやすくなります。定位置に戻す習慣をつけることで、部屋全体もすっきり保てます。
小さな変化から生まれる、午後のポジティブな心
ご紹介した工夫は、どれもすぐに試せる小さなことばかりです。クッションカバーの色を変える、小さな置物を置く、椅子の向きを少し調整する、よく使う物の定位置を決める。これだけのことで、空間から心への働きかけが変わってきます。
午後の時間に、「よし、やろうかな」と前向きな気持ちになったり、作業に集中できて達成感を得られたり、あるいは心地よい空間でリラックスできたり。このような心の変化は、毎日の暮らしにハリと潤いを与えてくれるでしょう。
まずは一つ、気になった色や配置のアイデアを試してみてはいかがでしょうか。手軽な空間の工夫から、あなたらしい心地よい午後の時間を見つけてください。