家事時間をもっと心地よく。空間心理で叶える手軽な色と配置の工夫
毎日の家事時間を、もっと心地よいひとときに変えるには?
毎日の暮らしの中で、キッチンや洗面所、ベランダなど、私たちは意外と長い時間を家事スペースで過ごしています。これらの場所は「作業をする場所」と思いがちですが、実は私たちの心にも大きな影響を与えているのです。
物の配置が少し違うだけでなんだか使いにくかったり、目に映る色で気分が沈んだり。逆に、ちょっとした工夫で「なんだか気持ちがいいな」「ここに来るとホッとするな」と感じることもあります。
空間心理学では、部屋の配置や色が私たちの感情や行動に影響を与えると考えられています。大掛かりなリフォームや模様替えは難しくても、手軽な工夫で家事スペースを心地よく整え、毎日の家事時間をポジティブなものに変えることができます。
この記事では、空間心理の考え方を取り入れた、家事スペースの簡単な色と配置のアイデアをご紹介します。ぜひ、ご自宅で試してみてください。
空間心理から考える、家事スペースと心の関係
私たちは、五感を通して空間から様々な情報を受け取り、無意識のうちにその空間に影響されています。特に、視覚から入る「色」や、体の動きに関わる「配置」は、私たちの気分や効率、リラックス度に関わってきます。
家事スペースは、単に作業をこなす場所ではなく、日々のルーティンを過ごす大切な空間です。この空間が整っていると、家事の効率が上がるだけでなく、「よし、やろう」という気持ちになったり、作業中に心が安らいだり、終わった後の達成感が増したりします。
夫婦二人での暮らしになったり、お孫さんが遊びに来たりと、ライフスタイルが変化する中で、家事のあり方や時間は変わってきます。ご自身のペースで、心地よく家事に取り組める空間を作ることは、日々の満足度を高めることにつながるのです。
手軽な「色」の工夫で、家事スペースの気分を変える
まずは、手軽に始められる色の工夫からご紹介します。空間の大部分の色を変えなくても、目に入りやすい小物の色を変えるだけで、印象は大きく変わります。
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白や明るい色を取り入れる 清潔感があり、気持ちを切り替えるのに効果的な白や明るい色は、洗面所やキッチンにぴったりです。洗剤や詰め替えボトルの色を揃えたり、タオルやマットを白や明るい色に統一するだけで、視覚的にすっきりと整い、気持ちも晴れやかになります。
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目に留まる場所に好きな色をアクセントに 全てを白に統一するのも良いですが、少し気分転換したい時は、目に留まりやすい場所に好きな色をプラスするのがおすすめです。例えば、キッチンの手拭きタオルを好きな色のものにする、洗濯機の上に飾る小さな雑貨を明るい色にする、ベランダにカラフルなジョーロを置くなど。心が弾む色があることで、家事の途中にふっと癒やされたり、楽しい気持ちになったりします。
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グリーンを取り入れる 植物の緑色は、リラックス効果や癒やしの効果があると言われています。キッチンや洗面所に小さな観葉植物を置いたり、ベランダでハーブを育てたりするのも良いでしょう。たとえフェイクグリーンでも、視界に緑が入るだけで、ホッと一息つけるような心地よさが生まれます。
動きやすさと心地よさを叶える「配置」の工夫
次に、物の配置を手軽に変える工夫です。ほんの少し配置を変えるだけで、家事の動線がスムーズになり、ストレス軽減につながります。
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よく使うものほど手に取りやすい場所に これは基本的なことですが、改めて見直してみると、意外と使いにくい場所に置いているものがあるかもしれません。洗剤、掃除用品、タオルなど、頻繁に使うものは、かがんだり背伸びしたりせずに自然に手に取れる場所に配置しましょう。スムーズな動きは、家事の負担感を減らしてくれます。
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「ながら」で楽しめる工夫 家事の間も、少しでも心が安らぐ時間を取り入れてみましょう。例えば、キッチンの窓辺にお気に入りの雑貨や小さな植物を置く、ベランダで洗濯物を干す際に、好きな景色や空が見えるように少しだけ配置を変えるなど。作業と同時に心地よい視覚情報が入ることで、家事自体が少し楽しいものに感じられます。
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視界をすっきりと整える 雑多なものが視界に入ると、それだけで心が落ち着かなくなったり、「片付けなくては」という軽いプレッシャーを感じたりします。洗面台の上にスキンケア用品が並びすぎているなら、カゴにまとめるか、引き出しにしまうだけでも見た目がすっきりします。洗濯機まわりの洗剤なども、おしゃれなボトルに詰め替えたり、布で隠したりするのも効果的です。視界が整うと、心も自然と落ち着きます。
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小さな「自分のための場所」を作る 家事スペースの一角に、ほんの一坪でも、自分がホッとできる場所を作ることも考えてみましょう。例えば、ベランダの隅に小さな椅子を置いて、洗濯物を取り込む合間にちょっと座ってお茶を飲む。キッチンのカウンターの一角に、好きな絵葉書や小さな花を飾る。大掛かりなものでなくても、自分のためのスペースがあると感じるだけで、家事の合間にリフレッシュでき、心にゆとりが生まれます。夫婦で使うスペースなら、それぞれがお気に入りのアイテムを置く場所を設けるのも良いかもしれません。
小さな変化が、毎日の心に大きなゆとりを
ご紹介した工夫は、どれもすぐにでも試せる手軽なものばかりです。高価なものを買ったり、大きな家具を動かしたりする必要はありません。今あるものを活かしたり、少しだけ配置を変えてみたりするだけで、家事スペースの雰囲気はぐっと心地よいものに変わります。
空間が心地よく整うと、私たちの心も穏やかになり、毎日の家事に対する気持ちもポジティブになっていきます。「やらなければいけないこと」だった家事が、「自分のための、心地よい時間」へと感じ方が変わるかもしれません。
ぜひ、ご自宅の家事スペースで、小さな色の変化や配置の工夫を試してみてください。きっと、日々の暮らしに、新しい心地よさと心のゆとりが生まれることでしょう。