心地よい部屋の秘密は「視線」?空間心理で叶える手軽なフォーカルポイントの作り方
なんとなく落ち着かない?部屋の「視線」に注目してみませんか
日々の暮らしの中で、ふと部屋を見渡したときに「なんだか心地よいな」と感じる瞬間や、逆に「少し落ち着かないな」と思うことはありませんか。大きな変化はないのに、部屋の雰囲気が少し違うように感じられることもあります。
実は、部屋の心地よさには、私たちの「視線」の動きが大きく関わっています。部屋に入ったときに無意識に目が向かう場所。この「視線が集まる場所」をほんの少し工夫するだけで、空間の印象が変わり、私たちの心にも良い影響があると言われています。
空間心理の考え方では、こうした視線が集まる場所は「フォーカルポイント」と呼ばれ、部屋の居心地を決める大切な要素の一つとされています。大がかりな模様替えは大変だと感じる方も、フォーカルポイントの手軽な工夫から、心地よい空間づくりを始めてみませんか。
この記事では、フォーカルポイントの考え方と、手軽な色や配置の工夫で心地よいフォーカルポイントを作るアイデア、そしてそれが私たちの心にもたらすポジティブな変化についてご紹介いたします。
フォーカルポイントとは? なぜ心地よさに関わるの?
フォーカルポイントとは、先ほども触れましたが、部屋に入ったときに自然と目が引きつけられる場所のことです。例えば、壁に飾られた絵、デザイン性の高い照明、美しい観葉植物、あるいは整えられた棚の一角などが、その部屋のフォーカルポイントになり得ます。
私たちは無意識のうちに、視覚的に魅力的な場所や、整理されていて安心感のある場所に視線を向けます。このフォーカルポイントが魅力的で心地よい場所であると、部屋全体の印象が良く感じられ、そこで過ごす時間も自然とリラックスできるものになります。逆に、雑然としていたり、目が休まらない場所がフォーカルポイントになっていると、部屋全体が落ち着かない印象になってしまうことがあります。
空間心理の観点からも、心地よいフォーカルポイントがあることで、心が安らぎ、ポジティブな気持ちになりやすいと考えられています。特に、夫婦二人でのんびり過ごす時間や、お孫さんが遊びに来て賑やかに過ごす時間など、シーンに合わせてフォーカルポイントを意識的に作ることで、それぞれの時間をより豊かにすることも可能です。
大がかりな模様替え不要!手軽なフォーカルポイントの作り方・変え方
「フォーカルポイント」と聞くと難しく感じるかもしれませんが、実はとても手軽な工夫で心地よいフォーカルポイントを作ることができます。ここでは、今あるものを活かしたり、小さなアイテムを加えたりするだけでできるアイデアをご紹介します。
手軽なフォーカルポイントになりやすい場所は、リビングのソファの上の壁、ダイニングの壁の一角、廊下の突き当り、玄関を入ってすぐの場所、棚の上段などです。これらの場所を中心に、以下の方法を試してみてください。
方法1:色をプラスして視線を引きつける
最も手軽な方法の一つは、フォーカルポイントにしたい場所に「色」をプラスすることです。
- クッションやブランケットの色を変える: ソファ周りはリビングのフォーカルポイントになりやすい場所です。季節に合わせた明るい色のクッションや、落ち着いた色のブランケットを置くだけで、視線が自然とそちらに向かい、部屋の印象が柔らかくなります。
- 壁に飾るものの色を選ぶ: 壁に絵や写真を飾るなら、その色合いを意識してみましょう。心が落ち着くアースカラーや、気分を明るくする暖色など、求める効果に合わせて色を選ぶのがポイントです。小さな絵をいくつか飾るのも良いでしょう。
- 花や小物の色を取り入れる: 季節の花を生けたり、お気に入りの色の花瓶や小物を棚の一角に飾ったりするのも効果的です。美しい色や形は自然と視線を引きつけ、空間に彩りを与えてくれます。
色の心理効果を意識すると、より効果的です。例えば、リラックスしたい場所にはブルー系やグリーン系、明るく元気な印象にしたい場所にはイエローやオレンジ系など、なりたい気持ちに合わせて色を選んでみてください。
方法2:配置やアイテムを変えてポイントを作る
色だけでなく、物の配置や置くアイテムを変えることでも、フォーカルポイントを手軽に作ることができます。
- お気に入りの飾り棚を作る: リビングやダイニングの壁に、小さな飾り棚を取り付けてみましょう。そこにお気に入りの写真、小さな植物、旅行の思い出の品などを飾るだけで、その場所が部屋の素敵なフォーカルポイントになります。季節ごとに飾るものを変えれば、簡単に部屋の雰囲気を変えることもできます。
- 照明でスポットを当てる: 間接照明やスタンドライトを使って、特定の場所に光を当てることで、そこをフォーカルポイントにすることができます。壁に飾った絵に光を当てたり、コーナーに置いた観葉植物を下から照らしたりすると、視線が集まり、ぐっと洗練された印象になります。光の色(電球色や昼白色)によっても空間の雰囲気が変わるので、試してみてください。
- 観葉植物をアクセントにする: 葉の色や形が美しい観葉植物は、手軽で効果的なフォーカルポイントになります。部屋の角や、家具の間に置くことで、視線を引きつけ、空間に自然な安らぎをもたらしてくれます。
- (お孫さん向け)子供の作品コーナーを作る: お孫さんが描いてくれた絵や、幼稚園・学校で作った作品などを飾る場所を一時的に作るのも素敵なアイデアです。リビングの壁の一部や、棚の一角に、マスキングテープなどで簡単に飾るスペースを作れば、お孫さんが来た時に喜ばれますし、家族みんなの視線が集まる温かいフォーカルポイントになります。
これらの工夫は、特別な知識や技術は必要ありません。今の部屋を見渡し、「どこに視線が集まっているかな?」「どこに視線を集めたいかな?」と考えてみることから始めてみましょう。
フォーカルポイントの工夫が心にもたらす良い影響
心地よいフォーカルポイントを作ることは、単に部屋が見た目に良くなるだけでなく、私たちの心にも様々な良い影響を与えてくれます。
- 気分転換になる: 部屋のフォーカルポイントが変わると、部屋に入ったときの第一印象がリフレッシュされます。これは脳に新しい刺激を与え、気分を切り替えることにつながります。
- リラックス効果を高める: 目が自然と心地よい場所に向けられることで、心が安らぎやすくなります。美しい色や形、好きなものに囲まれる安心感は、日々の疲れを癒やす手助けをしてくれるでしょう。
- ポジティブな気持ちになる: 自分自身で部屋に心地よい場所を作り出したという小さな達成感は、自信につながります。また、好きなものや家族の思い出の品などがフォーカルポイントにあると、それを見るたびに温かい気持ちになり、ポジティブな感情が育まれます。
- 会話のきっかけになる: 飾ってある絵や写真、小物などがフォーカルポイントになっていると、「これ素敵ね」「これはいつの?」など、ご夫婦やお孫さん、来客との会話のきっかけにもなります。
手軽なフォーカルポイントの工夫は、無理なく日々の暮らしに取り入れられ、部屋の心地よさと心の平穏の両方を育んでくれるのです。
小さな一歩から、心地よい空間と心を手に入れてみませんか
この記事では、部屋の心地よさを左右する「フォーカルポイント」について、空間心理の観点からご紹介しました。大がかりな模様替えや専門的な知識がなくても、色や配置を少し工夫するだけで、手軽に心地よいフォーカルポイントを作ることができます。
ご紹介したアイデアは、どれも今日からでも試せるものばかりです。ぜひ、ご自身の部屋を見渡して、どこに視線が集まっているか、どんな場所に視線を集めたいかを考えてみてください。
クッションの色を変えてみる、お気に入りの写真を飾る場所を作る、小さな観葉植物を置いてみる…。そんな小さな一歩が、部屋の心地よさを高め、そしてきっと、あなたの心にも穏やかで明るい変化をもたらしてくれるはずです。自分にとって一番心地よい空間づくりを、楽しみながら進めていきましょう。