50代からの夫婦二人暮らし。空間心理で関係が深まる手軽な色と配置のヒント
変化のときを迎えた暮らし、空間と心は繋がっています
お子様が独立され、ご夫婦お二人での生活が中心になった方もいらっしゃるかもしれません。暮らしの形が変わると、それまで家族みんなで使っていたお部屋の空間も、少し違ったものに感じられることがあるのではないでしょうか。
私たちは、普段過ごす空間から、無意識のうちに様々な影響を受けています。お部屋の色や家具の配置、物の量など、目にするもの、体で感じるものが、知らず知らずのうちに私たちの心に作用しているのです。これを「空間心理」と呼びます。
心地よい空間は、心を穏やかにし、前向きな気持ちを引き出してくれます。それは、夫婦の関係にも良い影響を与える可能性があります。大掛かりなリフォームや模様替えは大変、と感じる方もご安心ください。ほんの少しの、手軽な工夫で、お部屋の雰囲気とご夫婦の関係をより良い方向へ導くことができるのです。
この記事では、空間心理の考え方を取り入れながら、ご夫婦お二人の毎日がもっと心地よく、そして関係がより円満になるような、色と配置の具体的なアイデアをご紹介します。
空間心理とは? 部屋の配置と色が心に与える影響
空間心理とは、私たちの心が身の回りの空間から受ける影響を考える学問です。難しい理論は置いておいて、簡単に言えば「居心地の良い空間は、心も心地よくする」ということです。
特に、お部屋の「配置」と「色」は、私たちの心理に大きな影響を与えます。
- 配置: 家具の置き方や物の並べ方は、視線や動線を決めます。例えば、人が向かい合う配置は会話を促し、壁に向かう配置は集中を助けます。開放的な配置はリラックス感を与え、囲まれた配置は安心感をもたらすことがあります。
- 色: 色にはそれぞれ固有の心理効果があります。暖色系(赤、オレンジ、黄色など)は活動的で温かい印象を与え、寒色系(青、緑、紫など)は落ち着きや涼しさを感じさせます。中間色やアースカラーは安心感や安定感をもたらすことが多いです。
これらの空間心理の考え方を、ご夫婦お二人の心地よい暮らしに活かしてみましょう。
関係を深める配置の工夫:手軽なアイデア集
大規模な模様替えは不要です。家具の向きを少し変えたり、物を移動させたりするだけでも、心理的な効果は生まれます。
会話が弾むリビングの配置
ご夫婦でリビングで過ごす時間が多い場合、ソファや椅子の配置は会話に影響します。
- 向かい合う配置: テレビに向かって並んで座るのではなく、ソファを向かい合わせにしたり、ソファと一人掛けの椅子を向かい合わせに置いたりする配置は、自然と視線が合い、会話が生まれやすくなります。もし難しい場合は、ソファの前に小さめのテーブルを置いて、斜めに座るような配置にするだけでも効果があります。
- 窓を共有する配置: 窓の外の景色を見ながら一緒に過ごせるような配置も素敵です。ソファを窓に向けて置いたり、窓辺に並んで座れるような椅子を置いたりすることで、同じ景色を共有し、そこから会話が生まれることもあります。
一緒に過ごすダイニングの配置
食事の時間はもちろん、お茶を飲んだり、新聞を読んだり、ちょっとした作業をしたり。ダイニングテーブルはご夫婦の大切な共有スペースです。
- 並んで座る: 時には向かい合って、時には隣り合わせに座ってみるのも良いでしょう。隣り合わせに座ることで、より親密な雰囲気で会話を楽しめることがあります。
- スムーズな動線: テーブル周りがごちゃごちゃしていたり、椅子を引くスペースが狭かったりすると、無意識のうちにストレスになります。必要な物だけを置き、スムーズに動けるように配置を整えることで、食事や会話の時間がより快適になります。
お互いの時間も大切にできる工夫
一緒にいる時間が増えるからこそ、お互いのパーソナルスペースも大切にしたいものです。
- ゆるやかな区切り: リビングの中に、一方は読書、もう一方はテレビなど、それぞれが好きなことをして過ごせるようなスペースを作るのも良い方法です。大きな家具で仕切るのではなく、背の低い棚や観葉植物、ラグなどでゆるやかに区切ることで、同じ空間にいながらもそれぞれの時間を楽しめます。
- 趣味の共有スペース: もし共通の趣味があるなら、並んで作業できるような小さなコーナーを作るのもおすすめです。一緒に何かを作り上げたり、楽しんだりする時間は、関係を深める良い機会になります。
心穏やかになる色の工夫:手軽なアイデア集
壁の色を変えるのは大変ですが、お部屋の中の「色」は、クッションやカーテン、小物、ファブリックなどで手軽に取り入れることができます。
リラックス効果を高める色
心を落ち着かせ、リラックスしたい場所には、安心感のある色を取り入れましょう。
- 寝室: 寝室には、安眠を誘うような落ち着いた色合いが良いでしょう。青や緑、ベージュなどのファブリック(ベッドカバー、枕カバー、カーテンなど)を取り入れることで、ゆったりとした気分で眠りにつくことができます。
- リビングの一部: ソファ周りに、グレーやベージュ、淡いグリーンやブルーのクッションやブランケットを置くことで、くつろぎの空間を演出できます。
会話や活動を促す色
少し活動的になったり、楽しい気分になったりしたい場所には、温かみのある色や明るい色をアクセントに加えてみましょう。
- ダイニング: ダイニングに、暖色系のクッションやテーブルマット、花瓶などを置くことで、食卓が明るく、会話も弾みやすくなるかもしれません。
- 玄関や廊下: 玄関に明るい色の小物や絵を飾ったり、廊下に気分が明るくなるようなアクセントカラー(例えばオレンジや黄色の小さな置物など)を置いたりすることで、家に入る時や移動する時にポジティブな気分になれます。
気分転換になるアクセントカラー
お部屋全体の色を変えるのは難しくても、小さな面積に好きな色を取り入れることで、気分転換になります。
- クッションや小物: 季節や気分に合わせて、クッションカバーの色を変えたり、お気に入りの色の花瓶やフレームを飾ったりするだけで、お部屋の印象は大きく変わります。
- 絵や写真: お二人の思い出の写真や、好きな絵を飾ることも、心に良い影響を与えます。フレームの色をインテリアに合わせるのも良いでしょう。
小さな変化が、ご夫婦の心と関係に良い影響をもたらします
ご紹介したアイデアは、どれも手軽に始められるものばかりです。大きな費用をかけたり、大変な労力をかけたりする必要はありません。
- ソファのクッションの色を一つ変えてみる
- ダイニングテーブルの上に小さな花を飾ってみる
- 寝室のカーテンを洗って、少し明るい色のタッセルに変えてみる
- リビングの椅子を、少しだけ場所を移動させてみる
こうした小さな変化が、お部屋の雰囲気をご夫婦にとってより心地よいものに変えていきます。そして、心地よい空間は、自然と心にゆとりを生み、お互いへの思いやりや穏やかなコミュニケーションを育む助けとなるでしょう。
空間心理は難しいものではなく、日々の暮らしの中で、ご自身の心地よさを大切にするためのヒント集のようなものです。ぜひ、楽しみながら、ご夫婦お二人のための心地よい空間づくりを始めてみてください。小さな一歩が、きっと素敵な変化をもたらしてくれるはずです。