空間心理で叶える、孫が帰った後の部屋と心の心地よい切り替え方
孫が帰った後、静かになった部屋と心の声に耳を澄ませてみませんか
賑やかだった孫の滞在が終わり、お家が静寂を取り戻すと、少しホッとすると同時に、何とも言えない寂しさや物足りなさを感じることはありませんか。キラキラした笑顔や元気な声が響いていた空間が、急に落ち着きを取り戻す。この変化は、お部屋だけでなく、私たちの心にも影響を与えるものです。
家族構成が変化し、夫婦二人の時間が中心になった今、孫が訪れる時間は私たちに大きな喜びや活気をもたらしてくれます。その分、帰宅後の静けさは、以前とは違う種類の寂しさを感じさせることもあるかもしれません。
部屋という物理的な空間と、私たちの心の状態は密接につながっています。賑やかな「孫のいる空間」から、落ち着いた「日常の空間」へと切り替えることは、心の状態を穏やかに整える上でもとても大切です。
この記事では、空間心理の考え方を取り入れながら、大掛かりな模様替えではなく、どなたでも手軽にできる「配置」や「色」の工夫で、孫が帰った後の部屋と心を心地よく整える方法をご紹介します。
空間心理から見る「切り替え」のヒント
空間心理では、部屋の配置や色が私たちの感情や行動に影響を与えると考えられています。賑やかな雰囲気に合った空間と、落ち着いて過ごしたい空間では、自然と適した要素が異なります。孫が滞在中は、安全で楽しい空間にするために、無意識のうちに色々な工夫をされていることと思います。
孫が帰られた後は、その「孫仕様」になっていた空間を、夫婦二人の、あるいはご自身の「心地よい日常仕様」に戻してあげることで、心の切り替えを促すことができます。
難しいことはありません。例えば、おもちゃが置いてあった場所に花を飾る、子供向けの明るい色の小物を落ち着いた色合いのものに替える、といった小さな変化でも、心に安らぎをもたらす効果が期待できるのです。
手軽な「配置」の工夫で心を整える
1. 孫仕様の配置から日常へ
孫が来ると、安全のために家具の角を隠したり、動きやすいようにスペースを空けたり、遊び道具をすぐに取り出せる場所に置いたりしていたかもしれません。これらを元の日常の配置に戻すことから始めてみましょう。
- リビングのテーブルの位置を戻す: 孫が広々と遊べるように中央に寄せていたテーブルを、普段落ち着く位置に戻す。これにより、空間に「余白」が生まれ、視覚的な情報が整理され、心がリラックスしやすくなります。
- 遊び道具の整理場所: 遊び道具をまとめておける箱を用意し、定位置にしまう。見えない場所に片付けることで、物理的な情報だけでなく、賑やかだった「気配」も一度整理され、心が落ち着きを取り戻しやすくなります。すぐに次の来訪に備えたい場合は、一時的に布をかけるだけでも視界に入る色や形が減り、効果があります。
- 床に置いているものを減らす: 孫の絵本やクッションなど、床に直接置いていたものを棚やカゴにしまう。床が見える面積が増えると、空間が広く感じられ、開放感が生まれます。これは心の閉塞感を和らげることにもつながります。
2. 自分のための「落ち着く場所」を再確認
孫中心の時間から、ご自身の時間や夫婦二人の時間に戻るために、部屋の中に「自分が落ち着ける小さなコーナー」を意識的に作り直すのも良い方法です。
- ソファのお気に入りの場所を整える: 孫が来ていた間、他の場所で過ごしていた方は、普段お気に入りのソファの一角を、自分にとって最も心地よい状態に戻してみましょう。いつも使っているクッションやブランケットを置く、読みかけの本を近くに置く、など。この「私の場所」を再確認することが、心の拠り所を取り戻すことにつながります。
- 窓辺に小さな椅子を置く: 外の景色を眺められる窓辺に、小さなスツールや椅子を置いてみる。お茶を片手に、静かに外を眺める時間を作るための、物理的な「場所」を作ることで、心にゆとりが生まれます。
穏やかな気持ちを育む「色」の工夫
色は私たちの感情にダイレクトに働きかけます。賑やかな気持ちから穏やかな気持ちへと切り替えるために、部屋に取り入れる色を意識してみましょう。
- 賑やかな色を一時的に片付ける: 孫が使っていたカラフルなマグカップや食器、子供向けの明るい色のタオルなどを一時的に別の場所にしまっておくだけでも、視覚的な情報量が減り、空間全体が落ち着いた印象になります。
- 落ち着いた色を「差し色」で取り入れる: 青や緑、ベージュ、淡いグレーなど、心を落ち着かせる効果がある色を小物で取り入れてみましょう。
- クッションカバーやブランケット: ソファに置くクッションカバーの色を、明るいものから落ち着いたトーンに変える。ひざ掛けも優しい色合いのものを選ぶと、視覚的にも触覚的にもリラックス効果が高まります。
- 小さな花や観葉植物: 緑色は心を癒やす効果が高いとされています。小さな鉢植えや、一輪挿しの花を飾るだけでも、空間に穏やかな彩りが加わります。
- テーブルクロスやコースター: 食事やティータイムに使うテーブル周りの布製品の色を落ち着いたものに変える。グレーやネイビー、深緑など、深みのある色は心を落ち着かせ、ゆったりとした時間を作り出してくれます。
- 照明の色: 暖色系の柔らかな光は、リラックス効果が高いです。間接照明を使ったり、普段使う照明のトーンを少し落としてみたりするのも良いでしょう。
小さな一歩が、心地よい日常へとつながる
孫が帰った後の部屋が静かに感じられるのは、それだけ賑やかで楽しい時間だった証拠でもあります。その余韻を感じつつも、夫婦二人の、そしてご自身の心穏やかな日常へとスムーズに切り替えていくことは、これからの暮らしをより心地よく送るために大切なことです。
ここでご紹介した工夫は、どれも手軽で時間もかからず、費用もほとんどかからないものばかりです。大掛かりなリフォームや模様替えは必要ありません。ほんの少しの配置の調整や、小物の色を変えるといった小さな一歩が、お部屋の雰囲気を変え、そして私たちの心に穏やかさをもたらしてくれるでしょう。
ぜひ、ご自身のペースで、心地よい空間づくりを試してみてください。そうすることで、孫が来る日も、そして静かな日常の日々も、変わらず心穏やかに過ごせるようになるはずです。